「○○さん、3番診察室へお入りください」と患者さんを呼んだ時に、ドアの方を向いて患者さんが入って来る様子や、診察室の前の椅子に座るまでの様子をじっと見ている医師は、信頼できる良医だと言われています。患者さんがドアを開けて椅子に座るまでの間に、多くの情報を読み取ることができるのです。皮膚科や耳鼻科ではそれほど重要ではないかもしれませんが、内科では重要なことです。お腹が痛ければ前かがみで入って来るでしょう。

1歩1歩がお腹に響くのか、そろりそろりと入って来ることもあります。いつも辛そうに入って来る人が、「こんにちは」と元気に入れば、良くなっている証拠でしょう。肩にかけていたバッグを診察室のかごに入れる時、通常は手でバッグの持ち手を持って肩から外して手に持ち替えてかごに入れますが、内科診察室に入ってきた患者さんが、肩を下に傾けてバッグを滑り落して、手で持つことなくかごに入れました。それを見ていた内科医が「手首が痛いのですか」と尋ねると、その通りで、そこから関節リウマチが発覚したというケースもあります。

患者さんが入ってきた時に、パソコンに入力していて何も見ていないと言う事は避けたいものです。限られた時間を有効に使うためには、パソコンを見ながらになっててしまうのも仕方がないことかもしれません。しかし、良医はその辺りも考えています。「そのままちょっと待っててくださいね」と患者さんに一言お断りしてパソコンに入力し、入力が終わったらパソコンから目を離して患者さんの方を向き、本日のまとめとして大切なことなどをお話しする、という医師も多いです。

パソコンの方を向いている時と患者さんの方を向いている時とを、きちんと区別することが大切です。けじめ、とも言えるでしょう。ながら仕事はNGです。診察の最後に、ほんの1分ほどでもいいのです。

きちんと向き合う時間を作ってくれる医師は良医と言えます。

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